「テンペラ画(tempera)」というジャンルや「テンペラ技法」という表記は、画集や展覧会でしばしば目にします。
現代的な絵具の分類では、卵のバインダーを使用して作った絵具のことを総じてテンペラ絵具と呼んでいます。
テンペラの語源は、ラテン語の[テンペラーレ:temperare=正しく混ぜる。適切に結合する]という言葉からできたといわれます。
すなわち、顔料とバインダーを適切に混ぜ合わせ絵具を作ることを総称して、テンペラと言っていたのだといわれます。
ゴム質をバインダーとしたものを「ゴンマテンペラ」、カゼインをバインダーとしたものを「カゼインテンペラ」、卵の成分をバインダーとしたものを「エッグテンペラ」と、バインダーの成分を冠して呼び分けていました。
その中でも、卵をバインダーとしたものはしだいに絵画技法の主流となり、ルネッサンス期に頂点に達します。
卵のテンペラがテンペラ(絵具)の主流になったのは、バインダー調製の容易さと発展の段階で油成分を加えることにより絵具の性能が際立って向上し、表現が多様化したことであると考えられます。 |
卵の成分
 |
現在でも油絵具と併用できるという特性から卵のバインダーを用いたテンペラ技法(テンペラグラッサとテンペラミスタ)は、作品の中に取り入れられています。 |
卵黄テンペラ
(中世・イタリアのテンペラ) |
卵黄+酢+水 |
卵成分1:油成分0 |
テンペラグラッサ
(中世・イタリアのテンペラ) |
卵黄+油成分+水 |
卵成分1:油成分 約0.7 |
テンペラミスタ
(マックスデルナーの混合技法) |
全黄+油成分+水 |
卵成分1:油成分1 |
ドイツの技法 |
全黄+油成分+水 |
卵成分1:油成分 約0.7 |
ガゼインテンペラ |
カゼイン+水 |
|
|