−油絵教室−
基礎編〜グラッシの基本〜
グラッシは、油絵画発祥の時代から油絵具独特の表現技法として今日まで至っています。チューブ絵具が開発された19世紀以降、厚塗りに表現の中心を奪われた感がありますが、画面に潤いと透明感を与えるテクニックとして重要です。 混色とは異なり、濁らず鈍くならなりません。
- *下地の色がグラッシ層を透して効果的に見える重奏効果。過剰に行わない。
- *透明色を乾燥している不透明色の下層に薄く重ねることです。
- *透明感の強い独特の画用液(グレージングバニス)が効果的です。
- *彩度は失わないが明度がさがる。したがって、明るい下地の上に行うと効果的です。
グラッシ液をつくる
- 油絵具にグラッシ用のオイルを加えます。通常は、ペインテイングオイルを使ってもできますが、最終段階の透明層による表現では、樹脂分の多いグレージングバニスが効果的です。
グラッシ液をつくる
- 完全に乾燥している画面の上に柔らかい刷毛などでグラッシ液を塗ります。同じところを何度も塗り重ねるとまだらになりやすいので、軽く塗り伸ばします。
グラッシ液を塗る
- グラッシ層の厚み、絵具の強さは乾いた刷毛(空刷毛)で余分な絵具を引き伸ばし、調整せます。ただ、グラッシ層を乗せただけでは、やや嘘っぽい色になりがちです。
色の濃さは、グラッシの回数で調節できます。
マティエールの上のグラッシ
- 凹凸のある画面上でグラッシすると、色液が低いところに厚く溜り、高いところは薄くなります。
- ・澄みきった美しい色と透明度のある空気や遠近感を出す。
- ・色に同系色のグラッシをすると鮮明さが強調されます。
- ・補色(反対色)のグラッシをすると深い混色では得られない微妙な色までが作れます。
- ・白色地に単色でグレイスするのも混色では表せない透明度の高い色が出せます。