−油絵教室−
入門編〜基本的な制作工程〜
ここでは、最も基本的な静物画を描くことを念頭に、用具と材料の使い方を概説します。
モチーフ
- モチーフ台、モチーフ類
- モチーフは、気に入ったものを使えばいいのですが、形や色、大きさなど変化があるものを取り合わせると面白い構成ができます。
また、モチーフを置く場所は、モチーフにあたる光が一定で、モチーフの物質感などを見るのに適した場所をえらびます。さらに、落ち着いて描くには、しばらく放っておいても邪魔にならないことが大切です。
下描き
- デッサン: 木炭・鉛筆、オイルスティック、油絵具:イエローオーカーなど、画用液:テレピン、筆:柔らかい筆
- キャンバスに木炭や鉛筆でモチーフの配置、関係、形を概略描きます。直接、テレピンを多く用いた油絵具(おつゆ描き)で描き始めると、画面が濁らずに下絵ができます。
オイルスッティックのような棒状の油絵具を使うことも可能です。
色は、後からのせる色の邪魔にならないイエローオーカーなどを用いるとよいでしょう。
下塗り
- 油絵具:薄く溶いた油絵具、画用液:ペインティングオイル+テレピン、筆:豚毛筆
- 構図とモチーフの関係を確認しながら豚毛の筆を使って大胆に色を置いていきます。いきなり厚く塗るというより、絵具をキャンバスの目に摺込むように彩色しておきます。
絵具を重ねるにつれ、少しずつペインティングオイルを加え、絵具の乗りを調節します。
だんだんに形を整えていきましょう。
描きこみ
- 油絵具:通常の油絵具、画用液:ペインティングオイル+テレピン、筆:豚毛筆(摺込み)、ナイロン筆(彩色)、ペインテイングナイフ
- 各種の筆やペインティングナイフなどを用いて、モチーフの形と質感の描写をします。絵具が重なっていくにつれて、テレピンを減らし、ペインティングオイルを多くして使います。下地の色を生かした重色による表現は、作品の構造を密にし、深みを増します。
仕上塗り
- 油絵具:通常の油絵具、画用液:ペインティングオイル+乾性油+グレージングバニス、筆:ナイロン筆、ペインテイングナイフ
- 全体の色調や、明暗の関係、色のメリハリなどを調節しながら色を置きます。この段階では、透明色によるグラッシ技法とたっぷりとした隠蔽性のある絵具を使うことにより、全体の色調と一つ一つの形が際立ってきます。 気に入ったところでサインを入れ完成です。
ニス掛け
- 画用液:タブロー+タブロースペシャル+ペトロール、筆:刷毛、絵皿
- 完成した油絵には、保護と艶を整えるためにタブローを塗ります。乾燥により画面の艶が部分的にアンバランスになったり、色が引いてバルールが狂ってくることがおおくあります。描いた時の新鮮さを保つ意味でニス掛けは不可欠な作業です。
通常は、完成後、半年程度置いてからニスを掛けます。直ぐに光沢を与えたい場合にはタブロースペシャルという商品もあります。