−テンペラ教室−

未分類〜テンペラの描き方 (2) ミックステンペラ〜

■膠液の作り方

・処方:膠 1、水 10

水100g中に膠10gを投入し、3時間以上膨潤させます。
湯煎器に熱湯を入れ、膨潤させた膠水を湯煎(70度以下)します。

・用具
  • ビーカー ... 100cc以上のガラス容器
  • 湯煎器 .... ボール、手付き鍋など
  • 布 ....... 湯煎鍋とビーカーを隔てる
  • 温度計 .... 棒状100度用

■前膠処理(支持体の下準備)

・処方:膠 1、水 10

水100g中に膠10gを投入し、3時間以上膨潤させます。
湯煎器に熱湯を入れ、膨潤させた膠水を湯煎(70度以下)します。

・用具
  • 支持体 ........ シナベニヤ合板
  • 熱い膠水 ....... 60度前後に調整
  • 刷毛 .......... 30mm幅(60mm)
  • サンドペーパー ... 180番(150番可)
  • 割り箸 ......... 一膳

・行程
(1) シナベニヤの表面をサンドペーパーで多少荒らします。
側面は綺麗に整えておきます。
(2) 前膠は熱いままで施します。
まず裏面から熱い(60度以上)膠水を塗り始め、次に側面を塗ります。

※ 地塗り用膠は、上層ほど膠濃度を減らし更に膠液の温度を下げます。
これは、先に塗った膠を再溶解させないためです。
できれば、一昼夜放置し乾燥させること。

■和紙着せ

・処方:膠 1、水 10

水100g中に膠10gを投入し、3時間以上膨潤させます。
湯煎器に熱湯を入れ、膨潤させた膠水を湯煎(70度以下)します。

・用具
・行程

■白亜地塗料の作り方

処方:膠 1、白亜 1.2容量、酸化チタン0.3容量(粉末部分は80%~同量程)

水100g中に膠10gを投入し、3時間以上膨潤させます。
湯煎器に熱湯を入れ、膨潤させた膠水を湯煎(70度以下)します。

・用具
  • ボール ..... 300cc前後
  • 膠水 ....... 50cc
  • 天然白亜 .... 60cc~
  • 酸化チタン ... 15cc
  • ゴムベラ .... 1本
  • 刷毛 ....... 30mm幅

・行程
  • (1) ボールに暖めた膠水をとり、白亜を少量づつ膠水の中へ振り入れます。
  • (2) 次に酸化チタンを振り入れます。
  • (3) さらに水面近くまで白亜を振り入れたら静かに10分ほど放置し、粉体と膠水がなじむのを待ちます。
  • (4) 十分なじませた後、泡が発生しないように静かに撹拌します。
    ゴムベラを使って、粗い粉を丁寧につぶします。
  • (5) あまり多く撹拌し過ぎると、冷えて白亜が固まることがあります。
  • (6) 少量のお湯を加えて、濃度を調節します。
    これを、白亜地塗料の原液といいます。

■白亜地の作り方

処方:膠水 1、白亜 1.2容量、酸化チタン0.3容量
(粉末部分は80%~同量程)

・用具
  • 和紙着せ済のシナベニヤ
  • 白亜地塗料(原液)
  • 湯煎用具
  • 割り箸

・行程
  • (1) 和紙の膠が乾いた後、白亜原液により第1層を塗ります。
    板の裏から白亜を塗り始め、側面を塗り、割箸の上に前面を上にして置きます。
  • (2) 次に前面を塗るときは、手際よく気泡を残さぬようにします。
    気泡が生じた場合は、指の腹でこすりつけ完全に塗り残しや気泡をなくします。
    多少のハケ目は気にしなくても大丈夫です。
  • (3) 第1層と同じ白亜液に水を少量加え、やや薄い白亜液を作ります。
    タップリと白亜液を画面にのせ手際よく引き伸ばします。
    下層が剥げてこないよう微妙な力加減が必要です。
  • (4) 第5層ないし第10層まで白亜を塗り重ねます。(薄塗りの場合3層でよい)
    上層の塗料ほど水を加えて薄めて使用します。
  • (5) 乾燥を待つときは、割箸等を支持体の下に置き、通風をよくするとともに机面と支持体が台に着かないようにしておきます。
  • (6) 最終層が生乾きの状態で水刷毛により表面をならし、軽く支持体を落として平らに整えます。

※ ※短時間の講習会では、濃度の濃い白亜液(原液に近い)を使用して3層程度で仕上げます。
亀裂や気泡の危険性が高まりますがとりあえずテンペラ絵具をのせる為の支持体としては十分効果を発揮します。

※ 表面の磨きまでには一昼夜乾燥させます。
充分に乾燥していないとサンドペーパーによる磨きに耐えられません。

■白亜地の磨き方

・用具
  • 白亜地塗り済のシナベニヤ
  • サンドペーパー(#180)
  • 当て木

・行程
  • (1) 当て木にサンドペーパーを巻き、白亜地の表面を平滑にします。
  • (2) この時、強く摩擦するように磨きを掛けると、摩擦の熱で膠が熔け出すことがありますので、静かに行ないます。

■下絵のトレース

・用具
  • 磨き済の白亜地支持体
  • 原画(原寸コピー)
  • チャコペーパー
  • 赤いボールペン(または木棒)

・行程
  • (1) 原画を基底材の大きさにコピーします。
  • (2) チャコペーパーを板の上に置き、原画をテープ固定します。
  • (3) 赤いボールペンで原画をなぞり、主要な線をトレースします。
  • (4) 力を入れ過ぎると線が太くなるので注意してください。
    主だった線、影、目などは特に念入りに。
    鼻の稜線や衣裳の折れ目などは線で目安をいれておきます。
  • (5) 支持体から原画およびカーボン紙を一部剥がします。
    トレースの状態を確認し、充分であれば原画とチャコペーパーを剥します。
  • (6) この時、立体感の表現のための影などは画面の汚れにつながるため不要です。

■彩色前の準備(インプリマトゥーラ)

・用具
  • トレース済の白亜支持体
  • 膠水
  • 刷毛

・行程
  • (1) 地塗り用に調製した膠水をビーカーにとり、約3倍に薄めます。
  • (2) チャコペーパーでトレースした白亜支持体の表面に軽く刷毛で薄めた膠水を1回塗ります。
  • (3) 乾燥を待って彩色を始めます。
    強く何回も同じところを塗ると、トレースした線が消えてしまうので注意します。
    ※ トレースの線を定着するとともに、地塗層の吸収性を調節しテンペラ絵具の乗りをよくします。

■メディウムの作り方

・処方
  • 卵黄 ............ 1個分
  • 混合技法用画用液 ... 約15cc
  • 食酢(水).......... 約8cc
濃度は描きやすいよう多少調節することができます。
水は描く段階で加えるほうが扱いやすいでしょう。

・用具
  • 生卵 ........... 1個
  • テンペラ油性分 *1 ... 1瓶
  • 食酢(水でも可) ..... 適量
  • ビーカー(紙コップ) ... 1個
  • スプーン ......... 1本
  • メディウム容器...... 1個
  • ぼろ布 .......... 少々

・行程
  • (1) 卵を二つに割り白身とカラザをビーカー中へ取り除いて黄身だけをつまみ出します。
  • (2) 黄身の50~70%前後の油成分を加えます。
    (*1 油性分 ダンマルバニス:2 スタンドオイル:1)
  • (3) 始めは静かに、徐々に強く卵黄と油成分を混ぜ合わせます。
    混ざるにつれて、粘りのあるマヨネーズ状の糊ができます。
  • (4) 少量ずつ水を加えて攪拌し、バインダーの硬さを調製します。
    水の全量を一度に加えてしまうと、水と油性分が分離して均質なエマルションになりにくくなります。

■絵具の作り方

・用具
  • 卵メジウム
  • 顔料(ピグメント)
  • とき皿

・行程
  • (1) 溶き皿に顔料を必要量とり、水を滴下し馴染ませます。
    指で練るように混ぜ合せます。
  • (2) 次に卵メジウムを適量(普通は水練りした顔料と等量)加え指でしっかりと練りあわせます。
  • (3) 描く時に、水を加えて絵具の濃度を調節します。

● 練りにくい顔料について
クリムソンレーキやブラック、プルシャンブルーなどは水との馴染みが悪く、なかなか絵具になりません。
これらの顔料を扱う場合には少量のアルコールを用いて顔料を湿らせた後、水と練り合わせます。
※クサカベのピグメントの場合、水との馴染みやすさが表示されています。
  「ランクB」以下の顔料につきましては、アルコールによる処理を行なってください。

■描画

・用具
  • トレース済の白亜支持体
  • 絵具
  • 膠水
  • 筆・刷毛

・行程
  • ●描画
  • バーントシェンナ等基調となる色を卵メジウムで薄く溶き、下絵の線を描きおこします。
    強弱を付けてデッサンしておくとよいでしょう。
  • ●下塗り
  • テンペラ画では、明るい色を下に置いて塗り重ねると上層の絵具の発色が軽く鮮やかになります。
    薄めに溶いたテンペラ絵具で透明水彩のように絵具を置くことができます。
  • ●まだらのない塗り方
  • テンペラ絵具によるベタ塗では、刷毛目やまだらを生じやすくなります。
    均一でまだらの無い色面を得たい場合には、テンペラ絵具に少量の白を混ぜておくとよいでしょう。
  • ●テンペラによるグラッシ
  • 油絵具と同様、テンペラ絵具でもグラッシができます。
    油絵具で行うより、やや霞のかかったような繊細な塗りになります。
    テンペラ絵具を薄く溶き、下の絵具が起きない用に注意して絵具を重ねます。
  • ●肌色
  • 肌身部の全面にテールベルトを薄く溶き塗ります。
    肌の中間色はホワイト、バーミリオン、イエローオーカーで調色し陰の部分以外にハッチングで塗ります。
    次にハイライトを描き起こします。さらに、陰の色をグラッシします。
  • ●油絵具によるグラッシ
  • グラッシ液 (1回目)
    グレージングバニス ... 1容量
    テレピン .......... 5容量
    油絵具 ........... 少量

    グラッシ液 (2回目)
    グレージングバニス ... 2容量
    テレピン .......... 5容量
    油絵具 ........... 少量

    グラッシ液 (3回目)
    グレージングバニス ... 3容量
    テレピン .......... 5容量
    油絵具 ........... 少量

テンペラ絵具の水分が蒸発すれば、油絵具をのせることができるようになります。
通常は、厚く油絵具を置くのでは無く、グラッシのかたちで重ねていきます。
1層目は油分を薄く、2層目~3層目と重ねるにしたがって濃くしていくのが普通で、絵具の乗りをよくし、下層の溶解を抑えます。
絵具量は、発色を試しながら濃度調節します。

■仕上げニス掛け

・用具
  • 乾燥させたテンペラ作品
  • タブローまたはマットバニス
  • 刷毛

・行程
作品は完成後、2~3ヶ月間乾燥します。
艶を望む場合はタブローを、半光沢の場合はマットバニスを塗布します。
この時、1回のニス掛けでは画面に艶が吸われてしまいますので、1日に2回ずつ、4~5回までニスを掛けます。
テンペラ画は、卵を素材にした絵具による構成ですので、湿気の多い日本においてはカビの発生を免れることができません。
完成後は、保護ニスの塗布が望まれます。
テンペラ用のニスとしては、クサカベ製「タブロースペシャル」が適しています。

■制作例

作品の制作工程は、「ミックステンペラ・制作例」よりご覧頂けます。
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