−画材のエコロジー−

楽屋からの提言〜楽屋からの提言〜

提言1 画材には有害物質が含まれるという認識を持つ
提言2 材料への知識を深める(商品表示をよく理解する)
提言3 廃棄方法に十分配慮する(試案参照)

表現を旨とする芸術家にとって、自己主張のための制作から有害性物質を環境に放出することは、決して意図するところではないと思います。しかし、絵画材料には、伝統的に人体に有害な物質も使われてきました。ごく初期の、絵を描くこと自体、限られた専門知識の教育を十分に受けた人間がこれを行っている場合には、問題にならなかったことも、19世紀以降、表現者であるアーティストと材料供給者であるメーカーが役割りを分離して以来、材料は簡単に安く誰にでも手にいれることができるようになり、誰もが専門の画家と同じ材料を用いて絵画制作を楽しめるようになりました。また、当時とは比べ物にならない絵画人口の爆発的増加も、有害物質が環境へ出て行く要因をつくりました。

今日でも、伝統というマントの下で多くの有害物質が絵具の中に含まれつづけ、大量に消費される過程で環境中に排出されています。一人一人が発生する量は、公害問題が起こるような次元ではありませんが、毎日着実に少量ずつ出し続けています。

絵具メーカーの考え方も、少しずつ変わっており、少しでも有害性の無い材料へ変換していこうという努力が見られます。例えば、クロム系の絵具に変わって無害の有機顔料を用いたパーマネント系絵具の登場は早い時代のものですし、どうしても発色と効果の面で代替を許さなかったカドミウム系顔料に代わってビスマスバナジウム系顔料を使った色づくりをする技術も最近の成果です。多くのメーカーで「ビスマスイエロー」などの名前が見られるようになったのは、メーカーの材料に対する研究の成果です。

しかし、ユーザーの側から見ると、特に、専門的に絵を描くサイドでは、従来の実績ある絵具に要求があり、新規開発の新しい名前の絵具には手が向かない(新しい安全なものが売れない)という現象も出ています。メーカーサイドでも、新しいものが出たといってカドミウム系の古いラインナップを引っ込めることができないのが事実です。

ある意味、表現の進歩は材料の進歩でもありました(詳細別項)。21世紀となり、材料も新しく進歩しつつある今日、同時代の最先端の材料で表元を切り開いていく挑戦もあって欲しいものと考えます。

また、安易に材料が手に入る今こそ、もっと材料についての知見を深め、少しでも環境にやさしい、省みれば自分の健康にも安全な材料の使い方、捨て方について、ひとりひとりのアーティストが自覚して事にあたるようにしなければならないと思います。

この提言は、そんな思いから、少しでも解かりやすく伝えようという気持ちの現れです。メーカーは、無害化への材料代替の努力と、現行材料に関する知識普及に努めて欲しいということとともに、我々ユーザーの側でも、絵画材料は有害なものを含むという認識を強め、材料・技法への知識を深め、使用・廃棄にあたっては、十分周辺に配慮した心遣いをしたいものです。

小さな努力の積み重ねが、アーティスト全体の地球環境に対する「表現」として実を結ぶことを夢見ています。



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