−テンペラ教室−
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テンペラの種類と特質 (2)ミックステンペラ
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初期の油絵具は、透明性に富んでいたもののボディー感が希薄であったことは当時の作品からうかがえます。
イタリアではテンペラが部分的に彩色として使用されたのに対しフランドルでは、テンペラ絵具と油絵具の互層として絵が構成されました。
テンペラによる下絵に油絵具のグラッシがのり、またテンペラ絵具による描起こしを行い、さらに油絵具のグラッシを重ねると言う工程を数度重ねて、テンペラと油絵具特長を生かした幅の広い表現を可能にしました。
この油絵具との併用技法は、フランドル技法から改良されつつ今日まで行われています。
バインダーの処方を再現した一例は、次の通りです。 - 全卵:1個分(通常サイズでは50ml)
- 油性分*:卵と等量(約 50ml)
- 水:適量(使う時点で適した濃度に薄めます。)
- ・水に溶けて、乾くと水に侵されない。
- ・比較的速乾性である。水分の蒸発により見かけの乾燥をする。
- ・卵黄テンペラよりも絵具の伸びが自由でぼかしやグレーズも可能。
- ・卵黄テンペラよりも堅牢である。
- ・油成分の混合比(50%以上100%未満)により油絵具との併用が可能。
- ・未乾燥の油絵具層上に水性の含油テンペラ絵具が弾かずにのる。
- ・細密描写や顔料の発色を生かした技法ができる。
- ・卵黄テンペラよりもやや明度に欠ける。
■ミックステンペラの特質
顔料によりバインダーの量は多少異なります。
石膏地に塗られた卵黄テンペラ絵具は、明るく不透明な発色をします。
絵具にはあまり伸びがなく、彩色は通常ハッチングとよばれる線描の積み重ねで表現されます。
絵具の伸びの欠如は、表現自体を生硬にする傾向があります。
油性分を調節する(7~15ml前後)ことで顔料の発色を明るくすることも濡れ色にすることもできるので、作家の表現に合わせて幅広い効果が得られます。